Nokiaと Google Talk

前回掲載したNokiaGoogleのコラボは、インターネットタブレット770の
OSアップグレード(OS 2006)の一環だった。

よりパフォーマンスが上がったメモリと外見の変更、それにVoIP
そして目玉はGoogle Talkのプリインストールとフルスクリーンキーボードだ。
また、OS 2006のファームウエアで SIPベースSIPフォンなどのVoIP
サポートするため、通常の電話回線で通話受信が可能。

またヘッドフォンジャックはマイク付きヘッドフォンをサポートし、
オーディオインプットも可能。これでポッドキャスティングにも使えるだろう。

Googleによると、Google Talkはベータ版で既に50,000の登録ユーザが
いるらしい。
現時点では、ユーザがどのような使い方をするのか観察し、世界中からの情報
を収集することで、「使えるツール」にすることも目ざしているようだ。
そのためにも、 Nokiaの770に搭載するのは意味のあることだろう。


ところで、オープンソースの"Maemo Community"では、Nokia770向けの
約120種類の安定したアプリを提供しているそうで、この中にはインスタント
メッセージも含まれている。ダウンロードは無料。

http://maemo.org/maemowiki/ApplicationCatalog


Nokia770のアメリカでの発売は、今年前半の予定。

ケイタイキャリアとMVNO

MVNO(Mobile Virtual Network Operators)の話は以前に書いた。

自前の回線を持たずに、通話/コンテンツサービスを提供する
会社のことだ。有名なのは、 Virgin MobileとかESPN、それに
親会社のDisneyである。それと先日ソフトバンクと提携した
AppleiPodケイタイはMVNOとの噂。

実はこのサービスにインフラを提供しているのは、ほとんどが
Sprint。CingularもVerizonもやってはいるが、消極的である。
ネガティブな理由は、シンプル。
回線が混雑することによる自前のサービスへの不都合と、サービス
提供会社が増え、競合することで、自分の首を締めかねない危険性。
インフラ提供で得るレベニューと競合サービスによる減収。
まさに両刃の剣だ。

全米人口の約40%はまだケイタイを所有していない。
その大部分がティーンエージャーやヤングアダルト層、それに
ヒスパニック系を代表するマイノリティ層である。つまりMVNO
ターゲットと一致する。
これらのユ―ザはクレジットヒストリがないために、長期契約を
余儀なくされる大手キャリアは使えないのだ。

予測のつかないMVNOとのビジネスは、リスクを伴うけれども、
もしSprintの収益が明確になれば、VerizonやCingularも
本格参入してくるかもしれない。そうなると、MVNOの提供する
サービス価格が下がるという顧客メリットも期待できるだろう。
SprintからはMVNO関連の収益は発表されていない。

MVNOが抱える顧客は280万人。

Sprintのスポークスマンによると今のところ顧客から回線に関する
クレームは聞かれないという。
Sprintの顧客2,320万人のうち、310万人の顧客は、間に入る11の
オペレータから提供される独占回線に依存しているそうだ。

現時点でMVNOビジネスに名乗りを上げているのは、Wal-Martで、
自分のブランドのケイタイを販売する予定。
他には日本でもお馴染みのCostco、ブランドアパレル専門ストアの
Kohl's 、日曜大工からプロ御用達の道具/素材専門メガストア
Home Depotなど。


Wal-Martブランドのケイタイは、ちょっとねえ。

ケイタイ向け広告プロモ―ション

ケイタイ上での広告やプロモーションは、最近、アメリカでも
動きが活発になっているようだ。
例えばCigularでしか参加できない、 Foxの人気番組"American
Idol"のテキストメッセージを使った人気投票。

実はこれ数年前からある番組連動ものだが、American Idolの投票と、
Cingular同士の通話無料が理由で、Cingularに乗り換えた人は多い。


マスメディアを使った、ケイタイへの呼び込みもある。
Dunkin Donuts(ダンキンドーナツ)では、ラジオのリスナーに
ケイタイでテキストメッセージを送り、クーポンを受け取る
キャンペーンをやっている。ビルボードやジャンボトロンを使って、
ケイタイ使用を呼びかけているところもある。また雑誌の広告ページに
ケイタイのURLやショートコードを掲載している企業もある。
A&Eチャネルは番組の1時間前に、主演者からのメッセージがケイタイに
届くサービスをやっている。


2006年の現時点でアメリカの推測ケイタイユーザ数は、2億1300万人。
全人口の69%を占める。
利用者は、2005年に1兆5,000億分の通話をし、2004年から36%の増加。
調査対象の全ユーザのうち、コンテンツにアクセスしたのは、
18~34歳間で49%。男36%、女29%。
テキストメッセージ使用は全体の36%。
男39%、32%で、18~34歳では55%に跳ね上がる
テキストメッセージユーザのうち21%がMMSピクチャーメッセージを使用。
男24%、女17%で、18~34歳では32%となっている。

やはりジェネレーション@〜Xがコアなターゲット層だ。

ケイタイマーケット上での人気はやはり、リングトーンとゲームだ。
次いで、ファーストフードの地域限定ランチスペシャル告知など。
今までにテキストプロモ―ションを仕掛けた大手企業は、McDonald's,
Pepsi, Panasonic, Clear Channel, Bravo, A&Eなどなど。
今後はますます、地域限定や囲い込みのプロモーションが増えて行くと
想像できる。
どこどこのWiFiエリアにいる人たち限定のスタバコーヒー$1引きとか、
Google WiFi利用者限定、レニークラビッツ新作MP3無料ダウンロード
とかいろんなものが出てくるだろう。


アメリカではついに若い連中がケイタイを牽引し始めた。
そして広告ビジネスがそれを追いかけてきている。

NokiaとGoogle の提携

The Wall Street Journalによると、NokiaGoogleWiFi機器で提携、
5/16に詳細のアナウンスがあるようだ。Googleがケイタイメーカーと
初の提携とあって、ちょっと注目。



2社は機器をNokiaが製造、音声/インスタントメッセージサービスを
提供するのは、GoogleGoogle Talk
接続は完全にWiFiに依存し、電話回線は使用しない。
また、通常の電話へのコールはできない。本体価格は$390だそうだ。

アメリカのWiFi環境はどんどん広がりつつある。
サンフランシスコやフィラデルフィアなど、全米で約300の市政機関が
既に無料WiFiサービスの提供を発表。

Googleのパートナーとして、世界一の販売台数を誇るNokiaは、
心強いパートナーだろう。これまで、Googleはモバイルの世界では、
後塵を拝してきた。ここで一気に挽回ってところだろう。

Motorolaや、Cisco SystemsなどはWiFiと電話回線の両方で使える
ケイタイを開発中だが、キャリアはあまり乗り気ではないらしい。
そりゃそうだ。時間でチャージする自前の回線を使わない訳だから。
でも、キャリアにはESPNみたいなところに回線を賃貸して収益を上げる
モデルがあり、これが今後も伸びるだろうと予想している。
CingularがInfospaceからサーチ/ポータルサービスを受けるケイタイ
業界。GoogleやYahooを飛び越していて面白い。

5/16の発表を待ちたい。

セルキャスティングの到来

世の中には現在、ポッドキャスティングを可聴できる数千万台のiPodと、
7億台以上のPCが存在する。

それに対し、ケイタイは世界中で20億台。
有力ISPの役員は、“ケイタイがポッドキャスティングの次のディバイス
となる”と言い切っている。

PC化してきているここ数年のケイタイの機能と、Pod2Mobileや、
UpSnapが提供するサービスで、ケイタイからのポッドキャスティング
視聴が可能になった。

UpSnapは、3月27日に100の無料ケイタイ用ポッドキャスティングを開設。
視聴するためには、電話番号をダイアルするだけ。また、夏前までには、
UpSnapにテキストメッセージを送るだけで、視聴が可能になる。

ライバルのPod2Mobは、テキストメッセージ機能を既に有して、去年の
夏の開設以来、約100,000人のユーザを抱える。

アナリストの予想では、モバイルポッドキャスティングファンは、
年内にも数100万人に達し、6ヶ月以内には、iPodでの視聴者数を上回り、
2010年までには、5,000万人以上のアメリカ人がポッドキャスティング
を視聴するだろう。2006年の前半までにケイタイ上でポッドキャス
ティングを視聴することはごく普通となる。それはAppleのケイタイが
牽引するのかもしれないとしている。

このApple製ケイタイは、ずっと噂になっているが、熱狂的iPodオーナー
にしてみれば待ちに待っているケイタイだろう。

シアトルにあるソフト会社Melodeoは、National Public Radioが
プロデュースした45のセルキャスティングをアメリカとカナダで
配信している。Cingular、T-MobileそれにカナダのRogers Wirelessの
ケイタイで視聴可能だ。

セルキャスティングの特徴は、その尺の長さにある。
PCやiPodと比べるとやはり短い。長編ものは、例えば30秒ずつの
チャプターに分割することで、通話後に、最初から聞き直す必要が
なくなる。また、サブスクリプションより広告収入に依存することに
なるだろう。

でもそのマーケットは巨大だ。

オンラインのインディミュージック販売会社の、CD Babyでは既に15秒
の「オーディオ広告」をセルキャスティング向けに展開している。
広告予算は月$1000だ。iPodと違い、宣伝に興味を持ったらその場で
電話、あるいは、ネットにアクセスし購入することも可能。
市場規模的には、今年が$80ミリオン(約88億円)、2010年には$300
ミリオン(約330億円)と予測されている。

Pod2Mobileは、既に広告主が自動的に10~15秒の広告を挿入できる
ソフトを開発/提供している。技術系ブログで有名な "Engadge"で
既に採用もされている。
広告主にかかるコストはウエブのバナーに比べ割高である。
広告効果は、スタスティックなCTR(Click Through Rate)などが、
グラフとテキストメッセージで提供される。$300=3,000ダウンロード
というような価格設定だ。また、$600で、30日間特定のセルキャス
ティングの冠スポンサーになれる。広告嫌いな視聴者に対して、
そのうちTivoみたいなサービスが出現するかも知れない。


収入はポッドキャスターと分配という仕組みだ。
これならポッドキャスターもやる気が出るだろう。

StarbucksでのWi-Fi

何を今更だが、スタバでのWi-Fiを試してみた。


店内には3〜4人がラップトップを持ち込んで、コンセント傍に陣取り。
席を見つけ、ラップトップを開くと既にワイヤレスサインが"ビーン"と
立っている。tmobile名のネットワークをクリックし、HPにて必要情報を
入力。IDとPWDを登録し、買ってきたアクセスコードを入力して無事に
オンライン。

スピードは、うちよりは確実に早い。

サービス料金は、T-Mobileユーザだと、$19.99。ノンユーザだと、$29.99。
今回は、24時間のプリペイドカードを$9.99で購入。ホテルの有料サービスと
同じくらいだ。結構高い。

たまにビジネスミーティングなどでスタバを利用するなら、$29.99でリモート
会議室をレントしていると思えば安いかも。
スタバ以外には、本屋のBordersでもアクセス可能で、本屋の中に喫茶コーナー
がある。こちらはネットで勉強したい人向けだ。
新規でケイタイを決める際には、誘い水になるだろう。

見渡すと仕事している風の人たちが結構いる。
実際、スタバで仕事してみると、会社のような雰囲気でたまにはいいもんだ。
ちょくちょく来ようかなあ。

Slingメディアが熱い

先日、Sling MediaがSling Player Mobileを発表した。

Windows Mobile Pocket PC 5.0を搭載した携帯機器であれば、
世界中で自宅のあるいは、親戚の家(セットしていれば)のTVが
見れてしまうということになる。

Sling Mediaは友人のベンチャーキャピタルが投資した会社で、
2004年に設立。本社はSF空港近くのSan Mateoにある。
Slingには一石を投じるという意味があり、まさに既存のメディアと
システムに一石を投じる格好となった。

ボディは、延べ棒の形をしたプラスティックの筐体で、
価格は$249.99。これに、冒頭のSling Player Mobileが$29.99だ。
本体とTVの直繋ぎ、あるいはケーブルボックス経由での結線と、
ブロードバンド回線を繋がないといけないので、長いイーサ
ケーブルが必要かと思いきや、Ethernet Connection Bridgeなる
便利なものがあった。
これを壁のコンセントに取り付けイーサと繋ぐだけで、OK。


自宅には、ウインドウズベースのモバイル機器がないので、
PC上でTV観賞している。PDAでもあれば、スタバで自宅のTVが
見られる訳だ。VerizonとかSprintが提供しているケイタイへの
有料TV番組配信はこのおかげで影が薄くなるのではないだろうか。

日本にSling Boxを設置して、アメリカ在住の日本人向けに日本の
TVを視聴可能にするサービスを提供している会社が既に数社ある。
但し、権利関係が微妙なためにセールストークには気を使っている
ようだ。業務停止に追い込まれたところもあるらしい。

Sling Mediaは現在、Windows XPと2000しか対応していない。
また、複数のユーザの同時アクセスもできない。それにレコーディング
ができないから、TV観賞はリアルタイムということになる。
近い将来Mac版も計画されているらしい。

日本のどこかにSling Boxを設置して、日本のTVを観賞してみたいものだ。